●>みなさん
ちょっと前のエントリーで、いくつかコメントが来ていました。僕の言いたかったこと、言い足りなかったことをもう1度まとめさせてください。
僕は、
●サッカーファンとそうじゃない人が、一緒にいて両方とも100%いい気分になれる雰囲気なんか作れない
と、今大会であらためて思いました。当たり前だし、今さら何言ってんだと言われればそのとおりなんですが、正直、今までちゃんと気にしたこともありませんでした。で、文章にしようと思った時に考えてたことは、こんな感じでした。
●普段サッカー見てない人がたくさん来てた
●そんな人たちは、日本代表とか、W杯を肉眼で見れたことで満足していたように感じた
●一部のサッカーファンは、そんなW杯は嫌だと感じた
●一部のサッカーファンは、「そんな奴らは来るな」と感じた
●僕もそう感じた
●でも、「既存のサッカーファン以外は来るな」って言って喧嘩してもしょうがないと思った
●これからは、W杯の会場にはきっと、既存のサッカーファンとそうじゃない人が両方いる状態が毎回続くはずだ
●だったらこれから新規のサッカーファンが増えればいいのにと思った
●でも、最近サッカーに興味持ち始めた人は「にわか」って馬鹿にされる
●「にわか」って馬鹿にする人なんかと、自分は同類になりたくない、と思う人がいる
●そしたら、互いに自分を見つめ直してほしい
●僕だって、本当に昔からのコアなファンからしたら、全然「にわか」だ
●僕は、昔からのファンが「にわか」を見下すのも、「にわか」が「にわか」のまま開き直るのも、どっちも好きじゃない
●「にわか」は「にわか」であることを引け目に感じず、サッカー好きになればいい
●馬鹿にした人も、自分だってずっと前には「にわか」だったんだから、彼らを頭から否定しても角がたつだけだから、考え直さないか
●でも、そこまで言っても試合そっちのけで写真撮ったり、サッカー的に盛り上がるべきところで盛り上がってる人を邪魔者扱いするようなら、そんな人はスタンドにいないほうが快適だ
といった感じです。コメントくれた方たちへの個別のレスポンスではないですが、当エントリーであらためてもう1回このことについて書きます。
たとえば、応援してるチームの選手がドンピシャのタイミングで裏に走り込んだ……というシーンになったら、僕は立ち上がって身を乗り出します。そこへスルーパスが通り、彼は(彼女は)相手GKと1対1になって、決定的なシュートを放つ。もうその時点で、ゴールが決まった場合の叫び声とかガッツポーズとかを、無意識のうちにスタンバイしちゃってます。
でも、そのシュートが「うっそー」って感じで枠を外れたりすると、頭抱えて体をよじって、「よっしゃー」と言いかけて「よっっっっあ”〜!?」みたいなヘンな声を出してしまう。膝からカクーンて、気絶する人みたくぶっ倒れることもあります。
90分立ちっぱなしの時だってたくさんあります。本当に本当に重要な試合を迎えた時は、選手入場の時点ですでに感極まっていて、タオルマフラー握りしめたまま「何この人?」ってぐらいに90分ずっと泣いてたこともあります。
そういう時って、精神的にまったくシラフじゃないんだと思います。そんな時の僕は完全に「サッカーを飲んでる」酔っぱらいです。
人によっては、酔っぱらい方もさまざまです。シュートが外れた例の場面では、「次は決めろ」と選手を励ましてる人もいれば、「バカ」「何やってんだ」と怒鳴ってる人もいます。僕だって「ヘタくそ」と怒鳴ったことが何度もあります。30歳すぎて初めてキックのフォームを習った初心者の僕より、選手がヘタなわけがありません。でも、血中サッカー濃度が極端に上がっている試合中の酔っぱらいには、「自分と選手、どっちがサッカー上手か」などという冷静な判断なんかくだせないのです。
でも、スタンドにはそこまで酔っぱらってない人もいます。座ったまま、「ん?」みたいな顔してる人もいるし、アルカイックスマイルのごとき微かなリアクションだけする人もいます。あるいはデジカメの再生画面で、お目当ての選手が撮れたかどうかチェックしてばかりの人もいます。
これは必ず両方いる。花見で酒飲まない人もいる。花見を喩えに、話を続けます。
花見の席で、もし酔っぱらいが「おい、花見なんだから飲め馬鹿野郎」なんて言って無理矢理酒をすすめたら、言われたほうはものすごく嫌な気分になるでしょう。
逆に、「あのーすいません、僕は静かに桜を観賞しに来てるので、隣で酒飲んんで大声出すのやめてもらえますか」とか「そっちの桜の写真撮りたいんで、急に立たないでください」なんて言う人がいたら、今度は飲んでる人が納得いかない。どちらのケースでも、言ったほうも言われたほうも、絶対に気分が悪いはずです。
酒にかんして言えば、僕は、酔っぱらいが嫌いです。なので僕は、花見にはほとんど参加しません。なぜなら花見は、飲んで酔って騒ぎたい人がたくさんいるイベントだから。酔っぱらいに囲まれて小さくなってても楽しくないし、「酔っぱらうのやめてください」とか文句言っても身も蓋もない。というか、昼も夜もそこらじゅうに酔っぱらいがいるぐらいなら、桜の季節なんか、早く終わってしまえと思うぐらいです。桜の花をきれいだとは思うから、遠くから眺めることはありますし、近くで見たかったら、酔っぱらいのいない時に行きます。僕と桜、僕と花見、僕と酒飲みとの「距離感」は、だいたいそんな感じです。
で、僕は、W杯とは、サッカーに酔いたい人が集まる「花見」なのだと思う。「サッカーを飲む」というイベントだ。サッカー飲みが、いつもの飲み会より多少行儀悪く、多少気持ちよくなりすぎても許される場所であってほしいと願う。この場合の「酔う」は、もちろん「サッカー」を飲むから酔っぱらうのであって、「サッカー」不在でただ騒ぐという意図は含みません。
僕はサッカー依存症患者ほどの酔っぱらいだとは言えないだろうけど、僕なんかまだまだ「にわか」だけど、すごい酔っぱらいに囲まれて、どんどんつられておかわりしたい。W杯という花見に初めて参加して、これからもまた楽しみたいと思った人に、一緒に飲め酔えとは、僕は強制しない。ただそのかわり、応援するのも応援を強制されるのも嫌だけど、スタジアムには行きたいという人は、せめて「酔いがさめたらつまんないじゃん」と思ってる彼らや僕らがいることを、知ってほしい。試合そっちのけで「10番の桜」や「5番の桜」の写真を撮って帰る人は、自分が最優先されなくても文句言わないでほしい。ゴール裏で、立ち上がって声援を送るファンに「邪魔だから座れ」なんて言わないでほしい。「花見とかいう行事を、私ものぞいてみようか」ぐらいの気持ちで来た人からしてみたら、会場には、それはもうぎょっとするような酔っぱらいがたくさんいたんだと思いますが、W杯とはそういう花見なんだと、これを機に知ってほしい。「危なっかしい酔っぱらいが多くて、俺の好きな飲み会じゃない」と思うのなら、そういう危なっかしい僕らの花見を壊すのではなく、別の飲み会で楽しいお酒を味わってほしい。
ただ、W杯は全席指定だ。初めてのサッカー観戦だという人に、「この席は前の人が立っても文句言えないよ」というサッカー的な理屈が通じにくい。日本戦以外でも、たとえば「オージー座れよ」と、後ろからドイツ人がしつこく叫んでいたように、立って応援する人を邪魔だと感じる人はどの試合でもいたのだろう。この、全席指定という問題も、既存のサッカーファンとそれ以外の人による、日本人同士での対立の原因の一端と言って間違いない。前のエントリーでは、僕にはこの視点が欠けていた。が、その視点を加えたうえで考えても、やっぱり僕は、僕の応援するチームの試合でゴール裏の席になったら、立って応援したい。自分の席が、立ってる集団の後ろになっちゃったら、こっちも立つしかないよなと思う。たまたま席がゴール裏になっちゃって「えー疲れてんのに立つのー」と思った人には、気の毒だとは思うけど、しょうがないからゴール裏という雰囲気も込み込みで味わおうよ、と言いたいのだ……が、うーん。観戦慣れしてない人にゴール裏席が当たるというW杯は、やっぱりあちこちに不幸を生むのかも。
そして一方、「今はよく分かんないけど、いつか自分もこの雰囲気にのめり込みたいな」と思った人は、「にわか」って馬鹿にされても気にしないで、もっとどんどんサッカー好きになろうよ。誰だって最初は「にわか」だった。僕だって、見る人から見ればいまだに全然「にわか」です。でも、僕もあなたも、これからいっぱいサッカーを好きになれば、必ず「にわか」じゃなくなるんだ。他人に言われる「にわか」は聞き流せばいい。自分が「にわか」って言葉に負けなければいいんだ。




































































