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2006年07月03日

●ロケット砲の弾の上にブルドッグ

だめだこりゃ。路面電車が途中で停まっちゃうんで、勝手に線路に降りて歩き出すスタンドバイミーなイングランド人がたくさんいた。じゃあ俺も、と思って降りたら、そっからスタジアムまで3kmだと。あ、る、き、た、く、ね、えー。アムステルダムで買った、カエルがマリファナ吸ってる俺のTシャツも汗でぐしょぐしょだ。

ゲルゼン.jpg
スタジアムはドーム式で、アメリカのバスケットみたく屋根から大型ビジョンが吊ってある。これが見やすいんだわ。その画面、国歌斉唱の時に見てたら、カメラマンがいい仕事してた。歌ってるイングランドサポをぐるーっと横にナメてく感じで、最後すーっと引くと、彼らのいるスタンドの手前にエリクソンがアップでフレームイン。この撮り方はちょっとカッコイイ。参考にしようと思った。けど俺はビデオカメラ持ってない。がくーん。しかもその、国歌の間に、俺の隣の席に、長くてきれいなブロンドの髪の人が、両手にビールを持ち、チケットを口にくわえながらやってきた。肩とか胸元とか、すごい丸出しっぽい。ラッキー、と思って、わざとらしくないように視線を動かしてみた。男だった。がくーん。

あと試合。だめだこりゃ。試合中俺何してたかっていうと、退屈してたもん。コスティーニャとデコが前の試合で退場くらったせいなのか、ポルトガルの攻めが単調でしゃあない。ボールは全部横に逃がしてばかりじゃん。1トップのパウレタも、テリーとファーディナンドという、ほとんどスリラーのクリップに出てくるバケモノみたいなセンターバック2人に挟まれているので、まともにボールなんかさばけない。実際のところ、イングランドのこのCBコンビは強かった。で、イングランドの攻撃陣は、ポルトガルのしつこいマンマークディフェンスに手を焼いた。ラインを高く設定され、ルーニーがだいぶゴールから離れた位置でくさびを受けざるを得ない。そうなったら2列目を、裏にできた広大なスペースに走らせたいのだが、ここにポルトガルの中盤が、とにかくよく並走して食らいついてった。

ルーニーが退場してクラウチが出てきてからは、もう本格的につまんなくなった。寝ようかと思ったぐらいだ。両軍ともに、分かりきったワンパターンの攻めを繰り返すばかり。イングランド人のサポは相変わらず口汚く、ナイフみたいに尖っては、触る者みなののしった。けれど、ロケット砲の弾の上にブルドッグが乗っているという、子供が考えたかのような絵柄の入れ墨をしたうえに、前歯が3本ぐらいかけて口の中がガタガタになってるイングランド人が、相手やら審判やらを罵倒してるんだけど、場内の画面に自分が映ってると分かった瞬間、そんなやつでも笑顔で手を振っていた。素晴らしい。俺もどんなに苛立っていても、テレビカメラとヘリコプターには、笑顔で手を振る余裕を持っていたい。「月が追いかけてくるよー」なんて言いながら、思い切り笑って全力疾走できる無邪気さを、忘れずにいたい。
godstqun.jpg

試合後ゲルゼンキルヘンの駅では、そんないい年したガキみたいなイングランド人が、ものすごくガッカリしていた。「女房子供を質に入れてじゃねえけどよ、盗んだ貴金属にニセの鑑定書つけてはコツコツ売りさばいて手にした金を、全部このW杯に捧げたんだよ俺は。それなのに、たった5試合で終わっちまうなんて、ファッキン悲しいぜ」。とは言ってないがだいたいそんなニュアンスの顔した連中が、3人並んで、顔を手で覆って泣いていた。友情に気づいたアシュラマンみたいに、泣き顔が3つ並んでいた。

そして駅では、モンテディオ山形のユニを来た外人がガッツポーズをしていたのだが、それはまた、別の話。
山形.jpg

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